サクラ咲く
第6章

家族。

週末。


どれくらいぶりに会うのだろうか。
家族4人が揃うのなんて、かのこの成人式以来だから、4年ぶりだ。



久しぶりに親に甘える。


「かのこは綺麗になったなぁ。」



父にそう言われてドキリとする。

結局、ホテルに泊まるという最初の予定を押し切った父。

子供に迷惑をかけたくない、という理由らしい。


「やだなぁ、変わらないよ。」
「かのこはママに似て日本美人だからな、パパの自慢なんだよ。仕事場で写真を見せたらみんな綺麗だ、綺麗だって言うんだよ。」


長い髪を耳にかけてくれる、父の大きな手。

そんな風に思っていたなんて。


「パパ上手ね。ママがヤキモチ焼くわよ。」



そう言って笑うと、父が優しげな目をして呟いた。



「お嫁に行ってしまうんだな…寂しいね。」


…え⁈ そんな話してないし!


「まだよ?まだ結婚するわけじゃないし…彼氏が出来たってだけよ?」


「彼氏って如月君だろ?彼のことはよく知ってるよ。真面目な子だよな。
かのこにお似合いだね。」


…よかった、反対されなくて。


ホッとする。




「小学生のときに、パパにかのちゃんをください、って言いに来たことあるんだよ。」

「え⁈そうなの⁉︎」


初耳!大輔も教えてくれなかった。

泰斗がそんな事言ってたなんて…



嬉しい。素直にそう感じる。


「本当に如月君のものになっちゃうんだなぁ。なんだか早いよ、かのこ。」


しみじみと言われてしまうから、うっかり涙ぐんでしまう。


「親父、かのこを泣かせたら泰斗のやつから怒られるぞ。」



大輔からからかわれて2人で照れ笑い。


家族って、いいなぁ。


「それにしても、本当にかのこは綺麗になったわ。」


よく似た顔の母親から言われると、心境は複雑だ。

バリバリのキャリアウーマンだった母。

英語も堪能で、今は父の通訳を仕事にしている。



「まさか、かのこがダンの息子さんとお付き合いするなんてねぇ。」


「ママ、ダンって誰なの?」


まさかまさか。


「泰斗の親父さんだよ、かのこ。」



マグカップ片手に大輔が言う。
へぇ、そうなんだ。イギリスの人だとは聞いていたけど。


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