侍先生!
あぶらとり紙を買って、もうそろそろ集合時間なので、集合場所に集まる。


「じゃあな、バス乗っとけよ」


先生はそう言って、他の生徒のところに行ってしまった。
私も、皐月と和也くんの所に行こうと足を動かした。


「まいちゃん」


そう呼んだのは、澪ちゃんだった。


「澪ちゃん。 どうしたの?」


「先生と、一緒だったの?」


「え? うん、まあ…」


「そうなんだ…」


澪ちゃんは、目をそらして少し落ち込んでる様子だった。


そのあと、すぐ笑顔になって、


「良かったね、じゃあ私、自分のクラスに行くね! 引き止めてごめん!」


そう言って、走って行ってしまった。
どうしたんだろ、澪ちゃん。


私たちはバスに乗って、旅館に向かう。


ご飯の前にお風呂に行く。
浴場に入ると、美智子ちゃんがいた。


まだ早かったみたいで、他の女子生徒はいなかった。


「美智子ちゃん、どうだった? 自由行動。 カツオと周ったんだよね?」


「あ、まいちゃん。 うん、まわったよー。 ほかの女の子の視線が痛かったけどね。 まいちゃんもそうだったんじゃない?」


「わ、わたし? う、うん…まあ…」


「どうかしたの?」


私は頭からお湯をかぶって、シャンプーのポンプを数回押した。
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