侍先生!
部屋に戻ると、皐月が、私の顔を見るなり、駆け寄ってきた。


「どこ行ってたの? 私たち、結構遅かったから、他の女子の部屋に行ってたの?」


「あーうん、まあ…」


他の女子に聞かれてはマズいので、皐月だけ連れ出して、人気の無い場所に移動する。
皐月の耳に口を近づけて、ヒソリと話す。


「実は…侍先生の部屋で一晩…」


「えええええ!?」


皐月は私から少し離れて、すごい顔をしていた。


「それって、やっちゃったって事?」


「ううん、何もなかった。 一緒の布団で寝たけど」


「え…。 一緒の布団で寝たのになんもなかったの?」


私が頷くと、皐月は首を傾げた。


「普通、同じ部屋に一晩いて…布団も一緒で、なんも無いなんてありえるの?」


と、マジな顔をして言われた。


私も、そう思う。


「そう。 だから、凹んでるんだよ…。 もう先生の顔なんて見たくない。 …しばらくの間」


「分かった。 今日は一緒に行こうか。 和也に、男の意見として聞こう」


是非聞きたい。それは。


私と皐月は部屋に戻って、体操服から制服に着替え、軽く化粧をした。


待ち合わせ場所で、和也くんに会って、人気の無い場所で事情を説明する。


その後、バスに乗り込んで、大阪に移動する。
バスを降りて、しばらく歩くと、グリコのお菓子に書いてる人を発見する。


「男の俺から言わせてもらうと…まず、ありえないね」


「なにが?」


「だから、何にもないって事だよ! だって、まいちゃんと先生は結構いい感じだったでしょ? 何にも無い関係なら、まず同じ布団になんか入らないでしょ!」


「だよね! 私もそー思う!」


と、皐月と和也くんは話す。
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