恋花火 ~恋は甘く切ない~


璃香さんはそこまでする必要はないのに、って言ったけど、そこまでしないとあたしの決心が鈍ってしまいそうで。


だってあたしまだ丹後くんのことが好きだし、これからも好きでいるから。


だけど……丹後くんはもうあたしの手に届かない人。


会えない人。


わかってるから、心の中でひっそりと想ってるだけにしたの。


「後悔はしてないよ。妃紗たちはこうなる運命だったんだよ」


そう、あたし達は結ばれない運命だったんだと思う。


あたしと丹後くんが離れたのは運命なの。


理由なんてない。


だから……誰も悪くない。


バイバイしたのも後悔してない。


「妃紗……」


やめてよ、璃香さんがそんな悲しそうな顔しないで……。


「妃紗、大丈夫だからね?だって妃紗には璃香さんがいるし!」


あたしはそう言って璃香さんに抱きついた。





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