Dear HERO[実話]




「俺と付き合ってもその男のところにいつか戻るんじゃないか…俺はそんなの絶対に嫌だ!」




感情的に怒鳴られ、何も言い返す言葉はない。

壱春の言葉は正しいから…。


龍ちゃんのところへは戻らない!

そう言える自分はいなかった。


そんな自信なかったから…。


これでもう壱春と会うこともない。
そう自分に言い聞かせた。


しかしそれから数日後、私の隣には壱春が居た。

あの日の感情的な姿はなく、真っ直ぐな瞳を向けて…




「私も好き…」



その言葉を聞いて壱春の表情は緩んだ。




「ありがとう…」



夕日が海に沈んでいく。

その淡い光に照らされながら、壱春とキスをした。


これで…よかったんだよね?

< 278 / 407 >

この作品をシェア

pagetop