Dear HERO[実話]
そんな私の気持ちを察したのか、壱春の声が少し高くなる。
「でもこれは俺の問題だから。まだ色々としなきゃいけないこともあるし、仕事も忙しいから一時会ったりできないけどごめんね…」
「ううん、大丈夫だよ…」
「また連絡するから」
「うん…」
本当は…大丈夫なんてウソ。
でも自然と口から出てしまった。
連絡が取れなかった不安や寂しさも、理由が分かったら少しホッとした。
今の壱春はどんな力のある言葉を並べられるより、そっとしておいてほしいはず。
自分だったらそうしてほしい。
だからなるべく連絡を控えた。
壱春の誕生日も、クリスマスもお正月も一緒には過ごせなかった。
それでもきっといつか戻れる…
…そう信じて。