やさしい手のひら・中編【完結】
ツアー
ツアーの前の日となり、明日からBlacksは北海道へ行ってしまう

たぶん2週間は東京には帰って来れないだろうということだった。2週間後に帰って来てもテレビ出演と雑誌の撮影などが入っていて、その仕事が終わったらまた、地方へ行ってしまう

明日から忙しくなるということで今日Blacksはオフとなり、健太のマンションに泊まることにした

昼から会おうということになり、私は短大を早退し、短大の入り口で待っていてくれた、健太の車に乗った

「お疲れ」

「もう勉強ぜんぜんわかんない」

「夢のためだろ」

「だってぇ、難しいんだもん」

「頑張れ頑張れ」

「うん・・」

勉強がこんなに難しいと思っていなかった自分が情けない

「学校辞めて結婚する?」

「えっ?」

「俺と結婚しちゃえば勉強しなくていいじゃん」

「それはだめ。幼稚園の先生になりたいもん」

「じゃあ、頑張ることだな」

健太はフッと笑って、信号が変わったのでまた運転しだした

健太と結婚してしまえば確かに楽だけど、やっぱり逃げてはいけない

地下の駐車場に入り、いつものように健太の部屋に入った

私は鞄を置き、まずリビングから見えるいつもの景色を眺めた

何度見ても、心が安らぐ景色だった

「亜美、そこに立つの好きだな」

「うん。健太のうちに来たらここ見なきゃ、落ち着かないんだよね」

ここに立つと時間を忘れてしまうようで、私の大好きな場所となった

「ミルクティ置いておくよ」

「うん。ありがと」

私が外を眺めている間、いつもミルクティを作ってくれる

「ほら、飲んだら」

「あっ、うん」

私もソファに行き、健太の横に座った

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