With a smile
「なんだ急に、やる気になったか?」

「まあ・・・。カイさんは日本語覚えるの大変じゃなかったんですか?」

「オレの場合は、子供の頃から強制的に日本のアニメ見せられてたから。ドラえもんとか」

「ドラえもん?」

「そうそう、あれ大好きだったな。飽きもせず毎日見たよ。だから気付いたら覚えてた」

子供のカイさんに日本語のアニメを見せたお母さんは、いつか父親と会った時の為の祈りに似た準備だったんだろう。

それはちょっと切ないけど、良いお母さんだと思った。

「へぇー、・・・って全然参考になりませんっ」

「そうだな。でもマッキーも英語のアニメでいけるかもしれないぞ。アニメ似合うし」

「あー、また子供っぽいって事ですかー?」

車の中は2人の笑い声でいっぱいになった。

それから、ドラえもんの道具で1番欲しい物は何か、で盛り上がった。

カイさんの口からは私の知らない秘密道具が次々と飛び出し、饒舌に語る姿はいつものクールさとはかけ離れた、子供そのものだった。


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