ユールクラップの愛




「…ちょっと、春陽」

「うん?」

「…彼、ずっとアンタのこと見てるよ。…もしかして、Springって…」

「…考えすぎだよ、有希子。それに私は――」


<じゃあ、一発お披露目したいと思います!Lastになったけど、最後まで聞いてください!>

<『Dear.Spring』>





“愛していたよ あの日から
「突然消えてしまってごめん」 なんて
言えないけど 君の傍にいたいんだ
笑顔の君の傍に どうしてもいたいんだよ”

“君は忘れているかな
カフェで出会ったあの日を
お世辞にも いい出会い方とは言えないけれど
鮮烈に今もまだ 僕の胸の中にいるんだ”

“ああ 僕の背中にはまだ
翼なんて生えてないけれど
見失いかけそうだった 自分を
掬いあげてくれたのは 君で
僕にとっては 君が僕の翼なんだ”

“伝えきれないほどの大きな愛は
膨れ上がる一方で 萎【しぼ】むことを知らない
切ないくらい いとおしくて
ただただ 「愛してる」しかいえないけど
僕の隣に 君がいる未来をどうか…”

“Please I love you”




ああ、どうして。
私は、そんな風に言ってもらえるべき人じゃない。
それに私じゃないかもしれない。

なのにどうして。
どうしてこんな、期待させるような内容なの。




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