Colors of Heart ～7色のハート～

携帯の明細書、大学の友達の個展の招待状。


最後の一枚に目を見開いた。


　
鮮やかな緑の森とその下に広がる街並み。


その奥には都会のビルが立ち並び、真っ青な空が広がっている。

　
あの日、展望台で見た風景が見事な貼り絵で表現されていた。

　
「何がスランプだよ・・・やっぱり天才じゃないか」

　
思わずぽつりと呟いて、笑う。


後ろを見ると殴り書きのような文字が並んでいた。

　
（草ちゃんへ　この間はありがとう。　草ちゃんに会って、創作意力が増した！　スランプ脱出！！　自分でも納得のいく出来だったから絵葉書にしてみた。　次は東海道五十三次に挑戦してみるぞ）

　
（P.S.　草ちゃんはやっぱり俺のライバルで親友だ　守人より）

　
親友からのメッセージを心の中で反芻すると、絵を描くために、自分の部屋に急いだ。


＿＿＿＿僕ももっさんに負けてられない。






　　　　　「green heart」　*FIN*




　*こちらの章でではあえて、画家の名前を伏字なしで使わせていただきました。どの画家も作者の尊敬する画家です。


　*山下清（1922-1971)は日本中を放浪し、貼り絵の作品で有名な画家。鮮やかな色彩と細やかな絵のタッチから「日本のゴッホ」や「日本のスーラ」と呼ばれる。人柄の魅力で、ド○ンクドラゴンの○地主演でドラマにもなっている。「東海道五十三次」の制作のための旅行中に倒れ、亡くなった。


　*私は山下清が大好きで絵画展で感動のあまり画集を購入した程です。現代に彼がいたのならば、もっさんのような感じだろうなと勝手に想像して描きました。