【完・短編】君だけに~不器用サンタクロース~
その言葉は別に誰に向けられた訳でもなく、むなしく白い息と共に闇へと消えた。
『だって、私を捨てたこと後悔してるって言うんだもん。その言葉を信じた訳じゃないけど、信じたかった。
私、ずっと自分が嫌いだった。お母さんに捨てられた私なんて、好きになれなかった。だから、私……私が、生まれてきたのは間違いなんかじゃないって思いたかっーー』
「間違いなんかじゃないに決まってるだろ!」
ほんとは有紗が話終えるまで黙ってようと思ってた。
だけど、無理だった。
何でそんなこと言うんだよ。
何でそんな悲しいこと言うんだよ。
『…樹くんっ……』
俺を呼ぶ有紗の声に、どうしようもなく泣きたくなった。
有紗はずっとそんな思いを抱えながら生きてきたのだろうか?