アロマな君に恋をして

ベッドのふちに座る麦くんに半分身体を預けたこの状態は、なんとも中途半端で居心地が悪い。

この後どうすればいいのか全く分からなくて、心臓の鼓動は速さを増すばかりだ。


「……これは意地悪とかじゃなくて、なずなさんを傷つけたくないから聞くんですけど……本当に、いいんですか?」


麦くんが、優しい目をして訊く。

そんな風に改めて聞かれると、自分で自分がわからなくなる。だけど……


「…………いい、よ。麦くんなら」

「流されてるわけじゃなくて?」


流されてる……?


「……それは……わからない」


この状況で、流されてないと断言はできない。

でも、流されてもいいと思っているのは、麦くんが好きだからじゃないのかな。


「――じゃあ、いやだったら正直にいやって言ってくださいね?」


気が付けば、私の身体は宙に浮き、そのままベッドに仰向けに寝かせられていた。

始めに目に入った白い天井は、私の上に覆い被さった麦くんの身体ですぐに見えなくなった。


至近距離で、目が合う。

そのまま降りてきた唇が、私の唇をゆっくりと味わっていく。

麦くんは舌を使ったけど、決して乱暴なキスではなかった。

私はぎこちなくその動きに応えながら、自分に言い聞かせる


大丈夫……きっと。

こんなに優しいキスをする人だもの。

大丈夫……大丈夫、だよ。


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