アロマな君に恋をして

「よかった、会えて。なずなさん、今日はお店に出る日なんですね?」


今日も彼は黒目がちの瞳をテディベアのように潤ませて私を見る。


「……何の用ですか」


こめかみを指でぐりぐり押してイライラを緩和しようとする私に、彼は持っていた手提げ袋を差し出してきた。


「何よこれ」

「お弁当です、なずなさんの」

「……は?」

「自分で言うのもなんですけど、俺の作ったレモンバジルチキンは絶品なんです。きっと、なずなさんも気に入ってくれると思います」

「う、受け取れないわよこんなの……」


うちの店で買ったアロマは変な物じゃないと断言できるから受け取ったけど、手作りのお弁当なんて何が入ってるかわかりゃしない。

今回はさすがに毅然とした態度で断らなくちゃ……


「悪いけど私、他人の手作りは――――」

「わぁーありがとうございます!この子ったらいつもコンビニのパンかおにぎりだから、栄養偏ってるんじゃないかって心配だったの。ありがたく頂きますね!」

「お、緒方さん……っ!」


何てタイミングで登場するんですか……!

私一人なら彼をあしらえたのにこれじゃ……


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