アロマな君に恋をして

もう……今日はみんな、何度私の涙腺崩壊させれば気が済むの……?


「緒方、さ……っ」

「あらあら。せっかくの晴れ姿が台無しよ?」


まるで本物の結婚式に参列するときみたいにおめかししている緒方さんが、私を抱き締めて頭を撫でた。


「お店は……?」

「臨時休業よ。うちのお店も彼の所も」

「彼……?」


緒方さんが後ろを振り返ると、ティッシュを鼻に当てて盛大に鼻をかむ男性の姿が。

あ……あの、見覚えのあるオールバックは。


「あれ? 店長、泣いてるんですか?」


笑いをこらえて肩を震わせる麦くんが聞くと、店長さんは真っ赤な目で彼をぎろりと睨んだ。


「俺はなぁ……お前を本気で心配して……」

「わかってますよ。でも、そんなに泣かなくたって」

「うるせぇ。俺の美学では男泣きもオッケーなんだよ」


相変わらず、見た目と言うことが全くちぐはぐな店長さんがおかしくて、みんなでクスクスと笑った。

そのまましばらく雑談に花を咲かせていると、通路の向こうから小さな影が近づいてくるのが見えた。


「セリちゃん……!」


よかった。もう一度話したいと思っていた。

だって私が自分の気持ちに素直になれたのは、セリちゃんのおかげだもの。


私はすぐに駆け寄り、彼女の目線にかがみこんだ。


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