アロマな君に恋をして

散らかってる、なんて麦くんは言ってたけれど、私の部屋よりよっぽど綺麗だし、家具もそれに飾られた小さな雑貨たちも全部が可愛らしくて、まるで女の子の部屋みたいだった。


「今ご飯の準備しますから、待っててくださいね」


そう言って彼が向かったキッチンは対面式で、私のいる場所からちょうどよく見える。


「なにを作ってくれるの?」

「なずなさんに足りない栄養素が摂れるもの」

「私に足りない栄養素……?」


カルシウム……は確実に足りてない。
いつも飲みきれなくて捨てちゃうのがもったいないから、牛乳を買うのは数年前から辞めてるし。

ビタミンもなぁ……時々吹き出物が出ちゃうからきっと……

そもそも最近食事自体が適当だから、何もかもが足りてない気もするし――――


答えのわからぬまま、キッチンを動き回る麦くんをぼおっと見ていた私。

漂い始めたお料理の香りとともに、どんどん空腹感が増していくのがわかった。


< 39 / 253 >

この作品をシェア

pagetop