きっと上手くいく

「追いかけて謝ってきて」

「何で俺が?」

「人間として間違ってるから」

年下なのに
女って怒ったら迫力あるよな。

「和也が『自分が悪くない』って言うなら、私達はもう完全に終わる。そんな人の顔は見たくない」

そこまで言う?
千尋は青白い顔で真剣に言う。



くっそー


「動かないで寝てろよ!」

胃のあたりをムカムカさせながら、俺は乱暴にデブを探しに外に出た。


大嫌いな夕暮が空を染めようとしている中、俺はアパートを飛び出しカンのままヤツの影を追う。

どこ行った!
ベイマックス!

下町情緒溢れる街を走り
駅の方に向かう。

居酒屋の並ぶ商店街を探してから、逆方向にある大きな川の近くに行くと

デブがポツリ
橋の欄干で佇む。

緩やかな流れの川と
秋の夕暮れと
走る車の騒音と
全てがぐっちゃになり
奴の心のようだった。

丸い背中に哀愁。

やっぱ
悪かったかも。

「おーいデブ」
探してきた息切れを隠し
さりげなく駆け寄り営業用の笑顔を見せる俺。
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