きっと上手くいく
「あとさ、俺は……グチグチ言う男は嫌い」
デブはしんみりとうつむいた。
「『僕なんて何もできない』って言いながら努力しないヤツは嫌い。俺は料理も失敗しながら数をこなしてネットでレシピ見て勉強した。仕事もお前が思ってるよりキツい。笑って酒飲んで、お姉ちゃん達と騒いでるだけじゃないし、男の嫉妬ってスゲーぞ。ホストやってみるか?顔がいいから何でもオッケーってワケじゃない。世間はそんなに甘くない。例えブスでもデブでも自分のやれる事やって、自分から変わらないと何も起こらない。お前は全部を人のせいにしている。そこが嫌い」
俺はそう言い
デブの背中を軽く叩いて千尋の顔を見ると
千尋はムッとして首を横に振る。
『勝手な事ばかり言わないでよ!
お腹の中の子は私だけの子なんだから』
って言いたいんだろ。
でもね
公務員の父親がいて
小さな家に住んで
平凡な幸せを約束されて
生まれて来るのも悪くないかもしれない
顔は父親と違うかもしれなくて
ちょっと悩むかもしれないけど
「全部食べていいよ」
それだけ言って
近くにあったジャケットを片手に持ち
俺は部屋を出た。