何度でも、伝える愛の言葉。

「で?その早坂先生は自分目当てで来てる女子たちに手出して取っ替え引っ替えってやつですか。」


あえて最低な質問にしたのは、聞いた後のダメージを少なくするためだ。

もし澪も、早坂先生目当てで通ってた内の1人だったとしたら…。



『いやぁ〜全然!めっちゃ誠実。しかも大人だからそんな女子なんて軽くかわして終わりって感じ。』

『うわーますますかっけぇ!』


ホッとついた溜息は、誠太の声に掻き消された。

良かった…取っ替え引っ替えしてるような奴じゃなくて。

もし澪がそうされてたら…

って、そんなわけ…ないよな。


それにしても、澪はなんで…。



『澪っていつスクール辞めたのかな?』


俺が思っていたことを先に口に出したのは悠斗だった。



『あー最近じゃね?知らないけど。』

「知らねーのかよ。」


悟のいい加減な発言にツッコミながら、どうして澪はスクールを辞めたのか、そしてピアノを辞めようとしていたのかを考える。

だけど答えは見つからない。

見つかるわけがない。
何も知らないのだから。

頭に浮かぶのは、昨日見た、あの感情を読み取れない目だけだ。



『スクール辞めたら澪も時間できるだろうし、作曲とか教える?スクールでは作曲習ってなかったって早坂先生が言ってたし。』

『だな。』

『歌詞も共作とかしてみたら?』

『あぁ。』


悟と悠斗のそんな会話が、これから澪と一緒にやっていくことを改めて実感させた。

メンバー内恋愛禁止、という悠斗が作ったルールも。


そんなルール作って後悔しても知らねーからな…という思いは、言葉にはせずに飲み込んだ。



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