何度でも、伝える愛の言葉。

『お前さぁ、』

『でも、』


悠斗の声を遮って悟が続ける。



『誠太は本当に大事な仲間だ。兄貴が居るからその筋でデビューできるかもしれないと思ってたことは事実だけど、メンバーとして信頼できるし尊敬してる。兄貴の存在だけが一緒にやってきた理由じゃない。』


確かに誠太は彼女彼女と言いながらも練習も本気ですると言っていた。

だけど1度聞いてしまった言葉が消えるわけじゃない。



『…どういうこと?』


聞こえてきた声は、その場の誰の声でもなかった。

3人が同時に声の方へ顔を向けると、ドアノブを握ったまま立ち尽くしている誠太が居た。



「誠太…。」


戻って来たのだ。

俺たちの元へ。

考える時間が欲しいと言って立ち去ったけれど何かを伝えようとここに戻って来た誠太に、あまりにもつらい言葉を聞かせてしまった。



『兄貴が居るからデビューできるかもしれないって…そう思って俺とバンドやってきたのかよ。』


いつもの誠太とはあまりにも違いすぎるか細い声に胸が締め付けられていく。



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