box of chocolates
 十月に入り、やっと試作品第一号が完成した。
うまくいけば店に置いてもらえる商品。その試作品を貴大くんに食べてもらいたい。できあがったばかりの試作品を眺めていると、貴大くんが美味しそうに食べる姿が頭に浮かんだ。

…やっぱり、食べてもらいたい…。

『試作品です。うまくいけば、店に並べてもらえるかもしれません。いちばんに食べてもらいたかったので、送りました』 
 私は試作品を箱に詰め、さらに紙袋に入れた。そして、すぐに家を飛び出すと、一番近い宅配便の会社に持ちこんだ。
< 160 / 184 >

この作品をシェア

pagetop