box of chocolates
 貴大くんが咳払いをすると、ぐっと表情を引き締めた。
『騎手としては、まだまだ未熟で発展途上ですが、関係者の方々や、スノードロップが頑張ってくれたおかげでダービージョッキーになることができました。これからも感謝の気持ちを忘れず、たくさんの方々の思いを乗せて、勝ち星を積み重ねていきたいと思います』
 大きく深呼吸をすると、緊張で強張っていた表情を少し緩めた。
『ダービー優勝を大切な人に捧げたいと思います。ありがとうございました!』
 笑顔を見せると、深々と頭を下げた。
『ダービー優勝を大切な人に捧げたい』
 貴大くんの大切な人は、私でもいいですか? 心の中で呟くと、いろんな思いがこみ上げてきた。それは、涙となって、キラキラと輝いた。

 ありがとう。貴大くん。
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