愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
その後の私達は、ほとんど会話が無かった。無かったというより、私が『うん』以外言わなかったから…
なんか、どんどん気分が滅入ってく。
電車の駅まで送ってくれた桜井君に気の利いた事も言えず、彼の顔をまともに見る事さえ出来なかったんだ…
私と居てもつまらないと思われたかな…
家に帰っても、そんなことばかり考えて落ち込む私。
部屋のベットに寝転びぼんやり天井を眺めていると、携帯が鳴る。
沙紀だ…
「はい…」
『真央?ちょっとー!!どうしちゃったの?桜井君とホントに付き合ったの?』
沙紀は興奮気味に聞いてくる。
「うん…。でもダメだよ…私、桜井君と全然、上手く話せなかった」
落ち込んだ声でそう言うと『何言ってんの?せっかく付き合えたのに…もっと自信を持ちなさいよ』と呆れた様なため息が聞こえてきた。
沙紀に励まされ「頑張るよ…」と携帯を切ったけど、気分は落ち込んだままだ。
桜井君と付き合えたという喜びより、彼に嫌われたらどうしよう…という恐怖の方が大きかったのかもしれない。
そして、彼の女性関係…
それは、間違いなく嫉妬という感情だった。こんな感情が私にあったなんて、自分でも驚きだ。
遠くで見つめてた時の方が、ずっと幸せだった様な気がする。
誰かが言ってたな…
人は一度手に入れると、失うのが恐くなると…
そうなのかもしれない…
うぅん。きっと、そうなんだ…
私は桜井君を失う事に恐怖を感じていたのかもしれない。