愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

男の人に"好き"なんて言われるのは初めての体験。


何も言えなかった…


ただ、桜井君の顔を瞬きするのも忘れて見つめていた…


「でもな、そんな真央見てイライラする時もあった。たまには断れよ…なんて思ってさ。
お前が皆にいい様に使われてる姿、見るの辛かったから…優し過ぎるんだよ。真央は…」

「そんな…」


桜井君が照れ臭そうに私から眼を逸らす。


私の事、見ててくれた人がいた…こんな地味で、居ても居なくても分かんない様な私の事、桜井君は見ててくれたんだ…


嬉しい…


誰かに認められるって、こんなに嬉しい事なんだ。


嬉しくて、嬉しくて、涙が溢れ出す。


「お、おい!!なんで泣くんだよ?」


私の涙を見た桜井君がオロオロと慌てだす。


「なぁ…泣くなよ。真央…あ、そうだ!!麗子の事で嫌な思いさせちまったから、なんか埋め合わせしないとな…真央は欲しいモノとかあるか?」

「欲しいモノ?」

「行きたいとことかあったら、連れてってやるぞ」


困った顔をした桜井君の手をギュッと握り締め私は下を向き小声で言った。


「じゃあ…このタオルが…欲しい」

「はぁ?タオル?こんなのでいいのか?」


そう、このタオルがいい…桜井君を好きになるキッカケをくれたこのタオルがいいの。


「変わったヤツだな」


微笑む桜井君に私も涙を拭き微笑み返すと、彼の肩にそっと頭を乗っけ、立ち枯れした街路樹の間を肩を寄せ合いゆっくり歩き出す。


そんな私の心は、吹き抜ける冷たい北風を穏やかな春風に変えてしまうくらいポカポカと温かかったんだ…





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