愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
ポカンと間の抜けた顔で桜井君の背中を見つめていると、私の存在に気付いた桜井君の親友。森本 俊 (もりもと しゅん)が、「オイ、呼んでるぞ」と桜井君に目配せしてくれた。
この森本君、学年で一番の不良だと言われてて、滅多に学校に来ないし来ても遅刻だったり、いつの間にか居なくなったり…
髪は真っ茶、教室で平気でタバコ吸ったりするし、めっちゃ恐そうで、私とは住む世界が違う異星人的存在。
もちろん、今まで一度も喋ったことなどない。
どうして桜井君が彼と仲いいのか…未だに理解不能だ。
「用事があんなら、早く言わねぇと昼休み終わっちまうぞ~…」
白々しく桜井君が大声で言う。
"和弥"って呼ばないと返事しないって…あれ、本気だったんだ…
「なぁ、和弥、何言ってんだよ?北沢が困ってるじゃねぇか…」
森本君が私を見つめ不思議顔で桜井君の肩を叩くが「ちゃんと呼ばないから、返事しねぇんだよ」とシラッとした顔してる。
「はぁ?意味分かんねぇんだけど…ちゃんと桜井って呼んでるじゃねぇか?いつからお前、桜井じゃなくなった?」
「俊には関係ない事だ。黙ってろ」
「なんだとー!!喧嘩売ってんのか?和弥!!」
イラついた口調の森本君に、私は多いにビビリ焦りだした。
このまま2人が喧嘩になって大乱闘…なんて事になったら大事だ。私の責任になっちゃう…
仕方なく意を決し、消え入りそうな声で「和弥…」と、呼んでみた…