疑惑のグロス

課内の男が全員――。

んじゃ……彼も一票投じたってこと?


身体中の血液が、顔に集まってくるのがわかる。

ああ――本当にショック。

彼だけは、女を顔で選んだりしない人だって思っていたのに……!


「んぐっ!!」


怒りにまかせて、イカ天をよく噛まずに飲み込んだせいか、思いきりのどに詰まらせた。

慌ててコップを掴んで飲み干す。

水の勢いで何とかのどを通過させると、白飯をかき込みながら、二人の話に再び耳を傾けた。


だが二人はもう別な話題に移っていた。

――これ以上有益な情報は入ってきそうにないな。


残りのみそ汁を流し込むと、いらいらした気持ちを募らせたまま定食屋さんを後にした。

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