舞い降りた羽

―逢―

何の変哲もない、今までと同じ生活。



「さようなら。」と言うと、「さようなら。」と返ってくる。



門を潜り、仲良しの友達とは反対の道を歩く。



赤く染まる空を背景に見る学校は下校する生徒たちを見送り寂しそうに見えた。



学校のすぐ近くにある薔薇咲公園を通り抜け、変わったお店が一軒建っている。



ここが私のお気に入りのお店だ。



チャリン チャリン



店内に鳴り響くベルの音は、風鈴のように優しかった。



落ち着いた空気が流れる店内には、お客さんがいるのは確かだが、多いとは言い難い数だった。



以前、お昼にここへ来ると、t念藍はお客さんでいっぱいだった。



店員に聞くと、丁寧に理由を教えてくれた。



今は夕方だから、お客さんが少なかった。



カウンターの内側に、男の人が見えた。



白いシャツに黒いズボン、その上から黒い無地のエプロンを身に纏っていたので、すぐに店長だと気付いた。





「いらっしゃい。」





店長の声が聞こえ、そこには柔らかな笑顔があった。



「こんにちは。」と返し、いつも私が座るカウンターの席に座る。



今日の学校も疲れた。



1年間溜めていたような溜め息を吐く。



頬杖をし目を瞑っていると、コツっと、何かが置かれる音がした。
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