幸せの天秤
「レンリならきっと、自分の足で歩けるから」
マリアはそう言い、あたしを信じてくれる。
日本に行くときも、頑張って、と背中を押してくれた。
あたしは、周りをもっとちゃんと見るべきなのかもしれない。
あたしが日本に来て、今の会社に就職で出来たのも、
マリアや部長が動いてくれたからだろう。
なのに、あたしの我が儘でまた振り回そうとしてる。
「マリア、ありがとう。頑張ってみるよ、もう少し。
たまには、あたしの愚痴聞いてね」
「もちろん!!」
あたしは、1人じゃない。
あたしは、またマリアに助けられた。
次の日、会社に向うあたしに
「無理だけはしないでね。苦しくなったら、薬飲むんだよ」なんて
保護者みたいなことを言うマリアに笑ってしまった。
「部長」
あたしは会社に着くなり、部長のデスクに行く。
「なんだよ、急に」
「あたし、頑張ってみようと思います」
あたしの言葉の意味がわからないというような顔をする。
「頭でも打ったのか」
そんな部長に説明もせずに、笑って「仕事します」と言い、デスクに戻った。