clover's mind
「どうしたんだよ、探すんじゃなかったのか?」

 彼女の隣りに、同じようにお尻をつけないようにして膝を抱え、しゃがみこむ。

 スカートに半分ほど顔を埋めるようにして眼下の少年たちを眺めていた彼女は視線を動かさないまま、

「草太ってさ……」

「ん?」

「おみくじとかって引かないたち?」

「う~ん、ここ何年かは初詣とかいってないからな」

 受験に備えてげん担ぎなんてするほどの真剣さを持っていなかったしそういうイベントでもないかぎり他の理由で神社にいくようなこともない。

 信じる信じないの問題じゃぁなくて、あったこともみたこともない存在に“すがる”のがどうにも俺は嫌だったんだ。

 見も知らぬ他人にある日突然「私を幸せにしてください!」ていわれても困るだろう?

 そんな感覚だ。

 まぁ神様の視野ってのは想像もつかないくらい広いんだろうけどな。

「そっかぁ」

 おそらく彼女はおみくじの結果で一喜一憂するのだろう。毎朝の星占いなんか必ずチェックしているに違いない。

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