clover's mind
 ぽつりん、とひとり残され、

「……」

 台風が過ぎ去ったあとのような妙な爽快感の中、俺は彼女の背中を頬をかきながら見送り、

「あぁ!!」

 急いで自転車に乗ってこぎ出した。

 スーパーがしまっちまう!

 いつのまにか少年野球の子供達は姿を消し、誰もいなくなった河川敷にはゆっくりと夕闇が濃い群青の帳を空から降ろし始めていた。

 四つ葉のクローバーね……。

 ま、暇があれば探しておいてやるか。

 とりあえずは“鳥ささみ”のほうが今の俺には大事だ。


 
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