チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~

驚いた。てっきり同じ大学生だとばかり思っていたから。

つまみをテーブルに置いた春哉さんは、その足でクローゼットに向かった。

「去年の冬…だったかなぁ。路上で絵を描いてる宮川と会ったんだ。一瞬ですげぇって思った。こんな絵描く奴、同じ大学にもいないって」

タオルケットを取り出し、既に寝ている知恵と春樹にかける。この2人はいつも寝るのが早い。

「で、話しかけてるうちに仲良くなって。大学の奴ら紹介したり、こっそり大学の画材とか使わせてやったりしてね。作品もたまったし、丁度あのアトリエが安く貸し出されてたから、じゃあ個展でも開くかって。まぁ軽いのりでね」
「軽いのりで開いちゃうんですか」
「あはは。まぁ…宮川の可能性を見てみたいってのも、少なからずあったと思う。もっとあいつの絵、色んな人に見てもらいたいって」

そう言う春哉さんを見ながら、なんとなく、春哉さんは宮川さんが好きなんじゃないかなと思った。

うん、多分そう。

お似合いだと思う。なんか、うまく中和されそうな感じ。

「じゃあ…微力ながらもお手伝い、頑張りますね」

そう言うあたしに、「よろしくね」と笑顔を返す春哉さん。

恋の手伝いもできたらな、と、小さく思った。
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