チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
第二章

マモルという人


……………

「おはよー」
『…はよ。チェリ、早起きだね』
「でしょ?…って言いたいけど、実は寝てないだけ。」

オールの帰りだと告げると、若者は元気だなぁというあくび混じりの返事が返ってきた。

「なぁに言ってんの。マモルだってそんな変わんないでしょ?」
『二歳違えば別世界だよ』

電話の向こうからは、シャッとカーテンを開ける音が微かに聞こえた。

「そっち、晴れてる?」
『ん?多分』
「多分って。まだ寝惚けてるの?」

笑いながら、『東京は晴天だよ』と言った。
「そう」と、満足そうな声が届く。


マモルとはよく、明け方に電話で話した。なんとなく、オール明けの帰りに話したくなるから。

明け方じゃなくても電話した時は、マモルは東京の天気を聞いてくる。
何度か電話をする内にその事に気付き、あたしは先に告げる様になった。

晴れだと嬉しそうな返事をするマモル。
それがあたしも嬉しくて、できるだけ晴れの日には電話をかける様に心掛けた。

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