【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
「…氷室…部長?」

いつも大人な氷室部長。

嫉妬するような人に見えないくらい

常に淡々と落ち着いている……。

そんな印象しかなかった。

『氷室部長は
羽美花ちゃんの事が好きなんだよ。』

亜美ちゃんは勘ぐっていたけど

私はそんな特別視されるほどとは

思っていなかった。

満君と付き合っていたのを

この人は私が入社する前から

知っていたんだから。

でも、その陰で嫉妬してくれてたの?

確かに彼の言う通り

満君に骨抜きになっていた。

そんな私を何年も見て嫉妬していたの?

悔しさを隠して私と普段通りに

話してくれていたの?

遠くを見たままの彼を見上げながら

「…私、もう未練ないですよ?
確かにあの時は泣いちゃいましたけど。
満君を想ってたこの数年間は
何だったのかな?って…。」

「………。」

「…でも、氷室部長の
『助けてやる』って言葉に
助けて貰えたし
この数日間こうして
ここで過ごさせて貰えて
抱き締められてキスされて眠る夜も
凄く安心して眠れました。
もし、駅で部長に会わなかったら
私はどうなってたか想像つかないです。
…氷室部長のおかげで
絶望から救われました。」

「…羽美花?」

彼が私に視線を向けた。

「…もう、嫉妬しなくていいですよ。
吹っ切れましたから。
あっ、そうだ。
私、部長に渡したい物があるんです。」

「…何?」

首を傾げる彼は腕を緩めた。

「…待ってて下さい。」

そう言って彼から一旦離れると

ポシェットの傍に置いていた

包装されたプレゼントが入った

紙袋を手に取ると

何だ?と言いたげな

彼が座っているソファーに再び戻った。

「…氷室部長、受け取って下さい。」

私は紙袋ごと彼に差し出した。

「…えっ!?…何だ?」

意味がわからないような顔をしながら

彼は紙袋を受け取ってくれた。

「…羽美花?あの……。」

戸惑いを見せるかに

「…開けて見て下さい。」

私は開封を促した。

「…ああ。」

彼は紙袋から取り出すと

包装紙を剥がして開封し始めた。






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