【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

昼休みに花菜子と食べたかったけど

オフィスの電話当番になっている為に

一緒に食べられなかった。

結局私は

麻美先輩と一緒に社食へ行った。

行った途端に漂う独特の匂いに

やっぱり食べられない私は

少量のご飯と温泉卵と

冷奴の小鉢だけを選んだ。

「…大丈夫?」


朝から私がずっと真っ青だったのを

麻美先輩は心配してくれていた。

その時

「…麻美、うーちゃん。
一緒にいいか?」

麻美先輩の彼氏の営業1課柴田主任が

トレーを持って麻美先輩の隣に座った。

柴田主任も私のトレーの品数を見て

「…うーちゃん、それで足りる?
あっ、でも具合悪かったんだっけ?
大丈夫?」

と、食べながら心配してくれた。

麻美先輩と柴田主任は本当に

仲が良くて羨ましい。

交際を隠さずにいつも微笑み合っている。

私も咲輝翔さん…氷室部長と

そうなる日は来るのかな?と

何度も思ったりした時もあった。

でも…もうダメかもしれない。

私は2人のように微笑み合える日は

もうきっとないかもしれない。

好きなのに、こんなに好きなのに。

私はもう愛される事はなく

捨てられてしまうのかな。

まだ何も別れ話をされてないのに

確認したワケじゃないのに

あのメールがまるで

本当の事かのように私を苦しめる。

雲に遮られた花々は

常にSOSを出している。

だけど、私は声に出せない。

こんな時に花菜子がいてくれたら…。

そう思いながら

麻美先輩と柴田主任には

先に戻る旨を伝えて立ち上がり

食べ終わったトレーを返却口に戻した時

『あっ、氷室部長よ!!』

『本当だ!!カッコいい!!』

女性社員の黄色い声が聞こえて

私は“ドキッ”としながら

声のする方に視線を向けた。


その視線の先には

営業部の他の社員と一緒に入って来た

氷室部長の姿があった。








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