【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
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話を全て聞いた私の目からは

ポロリ…どころではなく

ボロボロと涙が流れて頬を伝った。

そんな私の涙を静かにそっと拭う

咲輝翔さんの目は赤くて

涙が次々から次へと流れて

頬を伝っていた。

初めて見る…泣いている彼。

私も右手を伸ばして

彼の頬にそっと触れると

手の甲で涙を拭ってあげた。

「…羽美花?」

一瞬“ピクッ”となって

戸惑った表情を浮かべる彼の背中に

腕を回して胸に顔を埋めた。

彼は躊躇いがちに抱き締め返した。

大好きな彼のシトラスの匂いを

スーッと吸い込んだ私は

「…ありがとう…咲輝翔さん。
全て話してくれて…。

本当は泣きたいほど
ずっと苦しんでいたのに…。
誰にも言えなくて
打ち明けられなくて辛かったのに…。」

「…羽美花。」

「…咲輝翔さんも不安だったのに
私はそんな事に気づかなくて
ちゃんと話さずに、勝手に不安になって
知らず知らずのうちに
たくさん傷つけてた。

今までごめんなさい。

あと…ちゃんと言わなくて
本当にごめんなさい。

…私は、咲輝翔さんが好きです。
愛しています。
私は絶対に離れていきません。
一生あなたの傍にいます。

…だから、もう一人で
泣いたりしないで下さい。」


すると彼は私の体を離し

涙をグイッと拭いた後

「…ありがとうな。」

と呟き、私の唇に熱いキスをした。


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