【短編】羽根月
「ダーメ!誰が聞いてるかわかんないし。あたし達一応'教師と生徒'なんだからね!」

オレがワガママ言うと、きまって里茉はそれをセーブしようとする。

「案外みんな知ってんじゃないの?オレ、バレたっていいよ」

「そう?じゃあ、あたしはクビになるか他の学校に飛ばされるかもね!」

「えっ…!」

そんなの無理!
バレるのは構わないけど、里茉と離れるのなんて考えられない!

「ウソウソ!ヤだよ!里茉が居ないならオレも学校辞める!」

「…もう!子供なんだから!」

「わぁっ!」

そう言って里茉は照れながらオレの頭をクシャと撫でた。

──ココじゃ
この距離が限界。

こんな時、たまらずオレは彼女を抱きしめたくなる。

オレよりずっと年上で、大人の女で頭も良くて、考え方もしっかりしていて

──だけど可愛くて

──いとおしくて

こんなに可愛い彼女なら、すぐ誰かに盗られるんじゃないかと心配になる。

実際、彼女はその柔らかい雰囲気が皆に好かれていた。多分、狙ってる教師もいたに違いない。

…まぁ今はオレのものだけど?

「里茉」

オレは彼女の顔を見た。

「ちゃんと卒業して。大地は進学するんでしょ?」
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