わたしから、プロポーズ


結婚への迷いを言った事が、ヒロくんには意外だったのか、途端に心配そうな顔をされた。

「何で迷ってるんだ?まさか、さっきの女性と関係があるとか?」

頷いた私は、ヒロくんに全てを話したのだった。
ヒロくんに話すことで、解決するとは思っていない。

だけど聞いて欲しかったのは、ヒロくんなら私を受け止めてくれると分かっていたから。
誰かにすがりたかったのだ。

「そうだったのか。だけど、莉緒が結婚に迷っている理由は、元カノの存在はあまり関係ないよな」

「え?」

「だって、そうだろ?話を聞いた感じじゃ、プロポーズをされた途端に迷ってるもんな」

言われてみれば、その通りだ。
プロポーズをされた瞬間に、迷いが出ている気がする。

「どうしてだろ?」

呟くように言った私に、ヒロくんは穏やかな笑みを向けた。

「なあ、莉緒。俺はさ、子供の頃に莉緒が俺を好きな事、薄々気付いてたんだよ」

「え?気付いてたの?だったら私たち、お互い想い合ってたって事なんだ•••」

今さらながら分かった真実に動揺しながらも、『もしも』を考えずにはいられない。
もしも、私がヒロくんと付き合っていたら、違った今があったのだろうか。

「それなのに、莉緒に告白出来なかったのは、自信がなかったからなんだ」

「自信ってどんな?」

「莉緒と、ずっと付き合っていられる自信だよ。飽きられたりするのが怖くて、言えなかった。だけど、それを後から心底後悔したんだ」

ヒロくんは、次には真剣な表情になり、私と向き合った。

「だから、莉緒から結婚を迷っているって聞かされたら、正直気持ちが止められそうにない」

「ヒロくん•••」

それ以上は何も言えない。
胸が高鳴るのも本当で、苦しく感じるのも本当だった。
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