わたしから、プロポーズ


今夜、瞬爾が予約をしてくれたフレンチのお店は、中心地から若干離れた場所にあり、静かで落ち着いていた。

川沿いに面したビルの一階にあり、穏やかな水の流れる音がする。

「ここ、雑誌で見た事があるわ」

店の前には川に沿って遊歩道があり、夜は街路樹に施された青いネオンが輝く、ロマンチックな場所だった。

「けっこう有名な場所だもんな。ほら、行こう」

差し出された手を握ると、瞬爾に連れられ店へ入る。

すると、黒いエプロンをまとった感じの良い女性店員が、外の席へと案内してくれた。

ウッドデッキに置かれた丸テーブルにはキャンドルが点され、川の音が心地好く聞こえる。

「中心地にある川といっても、ここは綺麗なのね。まだ、こんな場所も残っていたなんて感激だわ」

ロマンチックな雰囲気に、心も休まる感じだ。

「莉緒が、気に入ってくれたなら良かったよ」

優しく微笑んだ瞬爾に、私も微笑み返した。

「瞬爾、一課の今月一位おめでとう」

出されたシャンパングラスを乾杯する様に持ち上げると、瞬爾は私のグラスに軽く自分のグラスを当てた。

「ありがとう。実は、今日の為に頑張ったんだよ。なんて、みんなには絶対に言えないけどな」

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