わたしから、プロポーズ


「瞬爾にも?それって、私を束縛したいって事?」

「そうよ。伊藤課長にだって、そういう気持ちがあると思うけどな。だから、気にする必要ないって」

遥が話し終えた瞬間、タイミング良く携帯が鳴った。

それは、瞬爾からだった。

「もしもし?」

ゆっくりと電話に出ると、遥はニヤニヤとしながらこちらを見ている。

遥には私たちが、ラブラブな幸せカップルにしか見えないに違いない。

「莉緒?まだ、お邪魔してるのか?」

和香子の所へ行く事を話していたから、まだ家にいると思っているらしい。

「ううん。ちょうど帰るところ。今、駅に向かってる途中よ」

「それなら、ちょうど良かった。俺も今から帰りなんだ。車だから迎えに行く」

「えっ!?迎えに?」

思わず、声を上げると、それを見ていた遥が、手を振り駅までの道を走って行く。

「ちょっと、待ってよ!」

遥に向かって叫んだつもりが、その声に反応したのは瞬爾だった。

「何?迎えに行っちゃマズイのか?」

「えっ?ううん。違うの。ごめん」

どうも最近の瞬爾は、何かとケンカ腰だ。

今も、口調は明らかにムッとしている。

「それなら、今から行くよ。どこにいる?」

目印になる建物を伝えると、それから15分ほどで瞬爾はやって来たのだった。

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