わたしから、プロポーズ


ヒロくんと勉強!?

それなら、頑張れそうな気がする。

そういえば、テスト前にはいつもヒロくんが、手伝ってくれていたっけ。

そのメールの返信もしようとした時、

「誰かとメールか?」

お風呂から上がった瞬爾が、背後から声をかけてきた。

「えっ!?あ、うん。遥と…」

とっさについてしまった嘘に、罪悪感が胸に広がる。

それに、相手が遥と言っておきながら、携帯を置いてしまった行動も我ながら怪しい。

「別に気を遣わなくていいから、返事返してやれよ。俺は、先に寝とくな」

瞬爾は無愛想にそう言うと、ベッドルームへ入って行った。

その後をすぐに追いかければ良かったのに、私はヒロくんへの返事を優先してしまったのだった。

『ありがとう!じゃあ、仕事終わりに、少しでもいいから勉強しよう!』

“勉強”なんて打ったけれど、本当はヒロくんに会える事が楽しみだった。

ただ、それは瞬爾に対して後ろめたい気持ちがあるわけではなく、純粋に昔を懐かしく思いたいだけ。

現実逃避をしたい…。

ただ、それだけだった。

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