A-YA-KA-SHI☆バスター!!【Ⅱ】






 彩の元まで辿り着く頃には、アキラもマリも相当体力を消耗していた。


「美樹ぃー、もう限界ー・・・」
「俺も・・・」


 ハァハァと肩で息をしながら、二人はその場にへたり込む。
 そんな二人の傍らにかがみ込み、その肩を抱きかかえて、美樹は顔を上げた。


「美樹!?」


 美樹に気付いた彩が、振り返る。
 そして、アキラとマリの姿に気が付いて。


「お前らぁぁぁっ!!」
「ひぃぃ・・・!!」


 にじり寄る彩に、二人は美樹の背中に隠れるようにして、身を縮める。
 美樹は、彩を制して。


「待って、彩。アキラくんもマリちゃんも、わたしの事を守ってくれていたのよ。だからもう」
「アキラ? マリ?」


 周囲に警戒しつつ、彩は腰に手を当てて二人を見つめ。
 怯えた表情でこっちを見上げているアキラとマリに、軽くため息をついた。


「まぁ、今は忙しいからな。話は後だ」


 彩はそう言って、上空を仰ぎ見る。
 大量の低級なアヤカシの中心に、リュウとアヤカシが対峙していて。


「雑魚がなかなか減らないんだよな・・・」


 彩は、ポツリと呟いた。
 少しだけ息が上がっているが、そんなに大きなダメージを受けている訳ではなさそうだ。
 それを見て、美樹は確信する。
 アヤカシの世界とこの世界を繋ぐ空間。
 今はその空間が、最大限に開いている状態なのだ。
 だから、低級なアヤカシ達はどんどんこっちへなだれ込んで来ている。
 その代わり、リュウも彩も、アヤカシの世界からのパワーを得て、あまり体力を消耗せずに戦っていられる。
 堂堂巡りだ。
 それを言ったら、彩は少し驚いたように目を見開く。


「そう言われたら、運動量の割には疲れてないよな」


 でも、と、彩は美樹を見つめて。


「美樹、あんたが道を開いてるのか?」
「ううん、そうじゃないの。この戦いの影響で、だんだん道が大きくなってる」


 そっか、と彩は納得する。


「そりゃそうだよな。これだけ大きな力がぶつかり合ってるんだから・・・」


 また、閃光が走る。
 リュウとアヤカシの戦いは、今のところ互角。
 でもこのままでは、お互いに平行線のままだ。
 この戦いのバランスを崩すには。


「美樹」


 少し声を潜めて、彩は美樹に呼び掛ける。
< 395 / 416 >

この作品をシェア

pagetop