イジワル同期の恋の手ほどき

「朝食の次は、夜食だろ」

「資格の勉強でもしてるの?」

それを聞いて、宇佐原が笑いだす。

「昨日の夜食、最高にうまかったよ。だから、今夜もよろしく」

そう言って、宇佐原がくらっとするほど色気たっぷりのウィンクをする。

しばらく考えて、〝夜食〟の意味が正しく理解された時、体中から火が出るんじゃないかと思った。

「そ、それって、れ、練習……するものなの?」

「やっぱり毎日おにぎりだと、飽きるしな」

「わ、私、梅干しのおにぎりしか、作れないからね」

慌てて早口で言う。

「メニューは俺が考えるから、心配するな。食べてみたい夜食、リストアップしておく。俺、夜食は得意なんだ。作り方も、一からていねいに教えてやるから、楽しみにな」

にやっと笑って言うから、目をぱちぱちとしばたいた。

「私、手の込んだ料理は苦手だから、そ、それに、毎日は作れないし」

「俺は毎日夜食がないと眠れないなあ。試食、楽しみにしてるからな。そうだ、点数もつけるか」

もうこの事態をどう収拾したらいいのかわからず、あたふたする。
< 84 / 93 >

この作品をシェア

pagetop