滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

親になる


それから言葉通り、蒼は私のアパートに居座るようになった。



アメリカにある身の回りのものは処分する形を取り、
住んでいる部屋も引き払う手続きを知り合いに全て頼むことにしたらしい。






そして季節は冬を超え、
要約春が訪れたーーーー。







「じゃ、行ってくるね」


仕事のある朝は玄関まで蒼が見送りにきてくれる。


そして、日課となったちゅっと頬に軽くキス。



「いってらっしゃい」


ニッコリ笑ったエプロン姿の蒼がひらひらと手を振って見送ってくれる姿も、要約板についてきた。








私が家を出た後、蒼はバイトを始めた、

その勤務先は何と和菓子屋だった。




何でも実家に行って父親が作った和菓子がえらく感動したらしく、

突然自分も作れるようになりたいと自ら言い出して働くようになったのだ。




最終的には父親の元で…と夢のまた夢のような事を語っている。

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