赤い流れ星




(シュウと兄さん、うまくやってるかなぁ……)

お昼になってお弁当を食べていると、なんだかすっごく寂しい気持ちになって来た。
シュウは、今朝も早起きして私の分と自分達の分のお弁当を作ってくれてた。
明日からはしばらくはシュウの作ってくれたものが食べられないと思うと、本当に切ない……
でも、もしも、あの事件のことがなにかわかって、それがあの流星群に関係がある事がわかれば、兄さんはシュウのこともきっと信じてくれるだろうから、これはやっぱり調べてもらった方が良いんだ。
こんなことで寂しがってちゃいけない。

私は自分にそう言い聞かせ、仕事の事だけを考えて一生懸命に働いた。
だけど、やっぱり夜になると寂しさは募った。
今日はバス停から一人で帰るんだなと思うと、バスに乗る前から気が重くなった。







「ただいま…」



もちろん、家の中は真っ暗で、誰もおかえりと言ってくれる人はいない。
急に大きくなる不安感……



「わっ!」

その時、急に携帯が鳴って、驚いた私は思わず声をあげた。
液晶に浮かんでいるのはシュウの名前。



「はいっ!」

「おかえり。」



その一言で、私の目にはいっぱいの涙が溜まってた。




「もう家に着いてた?」

「うん、たった今着いた所。」

「そっか。
冷凍庫におかずを少し作っていれてあるから、それをチンして食べるんだぞ。」

「えっ!?そうなの?」

「それから、寝る前にはガスと戸締りと……」

「もう、そんなことわかってるって!
それよりもどうだったの?
そっちの方は何かわかった?」

「うん、まずはあの情報通りの場所に行ってみたんだけど、違ったんだ。
でも、本当の場所がだいたいわかったから、明日また移動する。」

「そう…それで兄さんとはうまくいってる?」

「あぁ、よくしてくれてるよ。
それで…あ、和彦さんが帰って来たみたいだ。
また後でメールするな!」

そう言って、電話は慌しく切れた。
隠す必要はないとはいえ、さすがに兄さんの前では電話もしにくいだろう。
本当はもっと話したかったけど無理は言えない。

私は気を取り直して、早速、ごはんの支度に取りかかった。
< 100 / 171 >

この作品をシェア

pagetop