君さえいれば
肩を掴まれ、クルッと遠野の方に向きを変えられる。


でも、あたしの視界には真っ白い遠野のシャツ。トクントクンと聞こえる遠野の胸の音。




「泣くならここで泣けよ。いっぱい、思う存分泣いていいから。隠しててやるから」




遠野、遠野。遠野の言葉はあたしの涙をいつも決壊させる。遠野の胸の中で泣き喚いた。


警戒していたけどどこかで信頼しつつあった律夏の裏切り。ファーストキスを奪われた、それを遠野に見られた辛さ。




全部全部流れてしまえばいいのに。
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