君さえいれば
「ってか、あいつ堂々と触りやがったよな。しかもこんな跡まで残しやがって。ムカつく。こんな跡・・・」




えっ?えーっ。赤くなったあたし の手首に自分の唇を押し当てる。ちくっと痛みがするとそこはもっと赤く色づいていた。




「ちょ、ちょっと何するの?余計に赤くなっちゃったじゃん」




「・・・知らねえ。いいじゃん、あいつが掴んだ跡じゃなくなったんだし」




バカ。バカ。遠野のバカ。こんなこと急にされたらどうしたらいいのかわかんない。


でもやっぱりこの跡が消えないでほしいなんて思うあたしはもっとバカ。
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