君さえいれば
「バカ、バカ遠野。マフラー返せなかったよ」




マフラーを抱きしめてとうとう涙が堪えきれなくなった。こんなに泣いたのはいつぶりだろ。




「遠野、良かったね。無事に東京行き決まってさ。あーっあたしたち明日で卒業なんだね」




「なあ?覚えてる?俺が言ったこと」




「覚えてるよ。明日だよね?あの公園であたしたち・・・」




「明日はさ、それだけじゃないから」




「えっ?」




「ちゃんとキスするから」




「バ、バカ!!そんなのは宣言しなくてもいいでしょ!もうバカ、バカ。遠野のバカ」




「するから。ちゃんと。だから覚悟してきて」




「・・・そんなの・・・言わないでよ」
< 77 / 104 >

この作品をシェア

pagetop