秘密戦隊とホームレス宇宙人
第13話 引き抜き
「ここに来るのも、今日で最後になるかもしれない」

キャバクラの席についたハカセが桃子にそう言うと、桃子は少し驚いた表情をしてこう尋ねた。

「そうなんですか?故郷に帰れる目処が立ったとか?」

「残念ながら…帰れない。ただ、君に協力してもらいたいことがあって、今日は最後のお願いを言いにきた」

「お願い?」

「私と一緒に、地球を救って欲しい」

「地球を救う…?」

ハカセがピンクの骨盤ベルトを取り出した。

「これを使えるのは君しかいない。一緒に、地球とガウデスを救って欲しいんだ」

「でも…このベルトじゃお金を巻き上げることしか…」

「いや、これに世界の未来がかかってるんだ!君がこのベルトを使うことで他の能力者とつながり、悪からベルトを奪うことができる。私はそう信じてる」

ハカセは熱くなり、ピンクのベルトを桃子の手に握らせ、ぎゅっと桃子の手を握り締めていた。

それに気付いたボーイの鈴木が桃子のテーブルに向かう。

「頼む…私と一緒に来てくれ!…ガウレンジャーとして…」

ハカセが言いかけたところで、鈴木からストップがかかった。

鈴木はダウンサービスでゆっくりとハカセに顔を近づけると、耳元でこう言った。

「お客様、引き抜きは困りますねぇ」

「ひ…引き抜き?」

ハカセにはその意味がわからなかった。

「とぼけられても困りますよ。自分のお店に引き抜こうとしていましたよね?」

鈴木の発言に、桃子がこう返した。

「違うんです!同業の引き抜きの話じゃないです」

「いや、でもレンジャーって聞こえましたよ。キャバレンジャーって新富町に新しくオープンした店のことじゃ…?」

鈴木が引き下がらなかったのを見て、桃子がこう言った。

「この人がスカウトに見える!?」


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