秘密戦隊とホームレス宇宙人
「超強力磁石でコリや腰痛なんかイチコロですから。一撃でコロリですから」

…なんで言い直したんだ?


「で、まあ実際に付けてみないとわからないと思うので…ちょっと立ってみて下さい」


俺はオッサンに促されるまま、立ち上がってジャケットをまくると、ベルトを腰に巻かれた。

―その瞬間、確かに腰が軽くなるような感じはした。何か、自分の身に変化があったのは確かだった。


「ね?ちょっと軽くなったんじゃない?」

「…まぁ…確かに」


「でしょ!効くでしょ!?ね?オッケー?」


「…はい。いいとは思います」


「あ、じゃあ決まりだね。お買い上げですね」

オッサンは勝手に話を持って行く。


「い、いや…ちょっと」

「いいっていいって!安くしとくよ!お兄さんには特別だから」

いや、いいって言いたいのは俺のほうだ。


「てか、いくらなんすか?」

値段を見ずに買える訳がない。


「本当はね96マンなんだけどね…よんじゅ……んえん」

「え?え?」

後半部分が全然聞き取れなかった。普通、通販番組でも安くなった値段をハッキリ言うだろう。明らかに濁したんだ。悪意を感じる。


「いくらですか?」


「96万円が48万円!安いでしょ!半額だよ!?」


「……48!?」

安い訳がない。1万ぐらいまでなら、オッサンのセールストークに負けを認めて、出してもいいかなと思ってしまった。48万は完全にボッタクリだ。


「…いや、48万なんて金ないですから、いいです」

俺の弱弱しい断りの声に、オッサンは全く動じなかった。悪徳商法のベテランの意地ってヤツか。


「大丈夫ですよ!分割で月々1万円の48回払いでできますからね。お求め易いですよね!月一万円で、腰痛とずっと縁遠い生活が送れるんだから」
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