秘密戦隊とホームレス宇宙人
「…うん。やっぱりおかしいよね。このベルトで地球を救えってさ」


「クロザイルさんの能力って何なんすか?」


「磁石だよ…」


「磁石?」

俺はブランコを降りて、何歩か前に歩く。


「見ててね……フンッ」


俺は気合を入れると、自分が乗っていた揺れているブランコを、腰にくっつけた。

―ピタッ


「ね?」


「アハハッ!超すげぇ!ウケる!」

…笑われた。
そんな能力なんだよ。


「そんな能力でも、人を一人助けたんだよ」


「え?」

俺の言葉に、鈴木は驚いていた。


「昨日、コンビニ強盗をやっつけた」
実際にやっつけたのは、山田だけど…俺の手柄でもある。


「すげぇ!その能力で強盗を倒すなんて…」


「だから、俺でも少しは出来るのかなって…ちょっと思うようになってきたんだ。レッドはもっと凄い力を持ってるから、みんなと一緒に……」


「悪いけど、俺はみんなと一緒には戦わない」


「え?」
レッドのその言葉に、今度は俺が驚いた。


「逃げてるとか、卑怯だとか思われんのが嫌だから言うけど、桃子ちゃんとか涼平の能力を見て、正直無理だと思った。あんなんじゃ勝てる訳ねぇもん。無駄死にするだけじゃん」


「…やってみなきゃわかんねーじゃんか!」
俺は少し息を荒くして言った。


「クロザイルさんの能力も今見て、戦力になんねーと思った。悪いけど」


「……」
俺は怒りがこみ上げてくるのがわかった。


「でも、俺の能力は、自分でもどんどん伸びていくのがわかるんだ。強い紫外線を浴びせることも出来れば、光の速度で敵にぶつかることも出来る。修行したら、どんどん強くなるのがわかった。

だから、悪いけど……俺は、一人で戦う」


「……え?」

レッドから出た言葉は、思いもよらないものだった。

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