君が見た秋の空
義之の病気は、動脈と静脈がダイレクトにつながっていた。



普通の人なら、動脈と静脈との間に毛細血管がつながっている。



毛細血管がつながって無い事で、血流が普通の人より多く早く流れる。



その為、血管が耐えきれず脳内出血や脳梗塞をおこす恐れがあった。



手術をすれば治るが脳の手術の為、リスクも高い。



詳しい検査をする為の機器は、千葉と神奈川の2箇所しか日本には無かった。



手術を行える技術と経験ある医師も数える程と説明される。



薬の服用と運動制限。


手術をしなくても生きていける可能性があった。



それでも、年を重ねれば血管自体が脆くりリスクが高くなる。



何より治さなければ、大好きな野球が一生出来ない。


それは、義之にとって、とても辛い事だった。



義之は、手術する決心をした。



毎日、病に怯えながら好きな事も出来ずに生きていく・・・


それなら病と闘って死ぬ方が本望と考えたからだった。



簡単に手術をする事を決めた義之に慎重に考えるよう促す医師と両親。



当然といえば当然だった。


何せ手術の成功率は40%と、リスクのある手術だったからだ。
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